2005-06-01から1ヶ月間の記事一覧
私はショートヘアにした事がない。否、母がさせてくれなかったというべきか。 母は、毎朝私の髪にリボンを結びながら、呪文のように、 「長い髪なんて鬱陶しいでしょう?でも女の子は長い髪の方が清楚に見えて、何かと得なのよ。」 と呟いた。 母の説得は必…
父は一年の殆どを大学で過ごすようなタイプの研究者であった。 それも、家には寝に帰るだけで、夜中まで研究室にいた。 それは私が幼い頃から変わらないライフスタイルで、おかげで私は父から口やかましく 注意をされる事がない代わり、完全に母に支配されて…
忘れられない光景がある。 同級生の千紗が、母親にピアノを止めたいと泣きながら訴えていた。 千紗の母親は絶対にダメだと言い、彼女の頬を張った。 それを見ていた多くの母親たちが、 「何もあそこまで・・・子どもを縛り過ぎだ、子どもが可哀相だ」と千紗…
小学校に上がり、私は幼児から少女へと変貌しつつあった。 母は私を少女らしく着飾らせたが、これみよがしのブランド服は忌み嫌っていた。 私の服はいつも「どこかが、さりげなく」他の女の子たちとは違っていた。 例えばそれは、揺れる飾りの付いたソックス…
子どもと言うのは純粋無垢だと言う人もいるが、私は自分の幼少期を振り返る限り、 そうとも言えないと思っている。 私が通った私立の幼稚園は、近所の他の公立幼稚園と比較して、明らかに金の要る場所だった。 母はお金の話はしなかったが、遠まわしに公立幼…
母は何かと言うと「一人娘ですから」という言葉を好んで使った。 私にピアノやバレエを習わせたり、幼稚園から私立に通わせたりと言った 数々の贅沢の言い訳として自嘲気味に・・・否、自慢げに・・・?? 私の父は、大学教授である。世間的にはリッチなイメ…