あなたに幸せを運ぶ天使ハニエル

元Yahoo!ブロガーです。

第三十話「都合のいい女」

「男はみんな、無条件で尽くしてくれる母親が好きなのよ。言葉や態度で表現できなかったり、
自分でも気付いていない男も中にはいるだろうけど、面倒をみてくれた母親の事を
「オフクロほど自分を愛してくれた女性はいない」
と思っているものよ。

だから、男はみんな一生マザコンなの。それを女性に当てはめてご覧なさいよ。
若くて我がままな女に一時夢中になっても、出世する男ほど尽くしてくれる女が好きなのよ。
手のかかる美貌の女にいつまでも振り回されている男が、仕事なんてできるわけがないじゃない。

まだ社会に出たばかりで、結婚はまだ先だと考えている男は、仕事のできる女に
憧れているわ。でもいざ自分が結婚を考えた時、外向的な女を無意識に候補から
外すものよ。」

「でも最近は共働きが増えたって・・・・」
母が初めから、専業主婦の世界観で話しているのは、わかりきっていた。
わかっていても聞いてみたかったのだ。

「結婚生活は長いわ。夫婦二人だけの生活でまだ責任も大してないときは、それでも何とか
やっていけるでしょう。でもそのうちに、子供が産まれ、職場で責任が重くなっていく過程で、
そんな二人が争いなくやっていけるほど、甘くはない。お嬢さんのお勤めとは、違うのよ。

美雨間違ってはダメよ。明るくて楽しくて話し上手で、男の子にチヤホヤ
されても構わないけれども、遊び好きだと思わせてはダメ、結局は、
たとえ面白みに欠けても、きちんと生活している女の方が男性に大切にされるわ。」

「それはわかるの」・・・それは、私に門限があるのときっと同じ理由だろう。
何か腑に落ちない顔をしている私に向かって、母は最後通告のように言った。

「一生働く覚悟がないなら、自立より、男にとって都合のいい女を目指しなさい。
それこそが、男が絶対に離れられない女よ。」

都合のいい女・・・。これほど屈辱的な表現があるだろうか?
けれども、男性が人生最高の理想の女性と考えているのは、まさに
「都合のいい女」そのものだ・・・。

実際、争いのない家庭生活を我が家に提供し続けた、私の母の姿そのものであった。